人気ホームページ作者のインタビュー

人気ホームページ作者のインタビュー

@niftyの記事は突然なくなるので、小生の記事がネットに残っている今、バックアップかねて掲載しますね。

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出典元:@nifty(2002年12月の頃、多分)
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第20回 まる高マラソン大会 リアルとバーチャルがうまくかみ合ったランナーネットワーク

「@niftyホームページグランプリ2001」で、応募総数3,058件もの中から見事グランプリを受賞した「まる高マラソン大会」。立ち上げ当初からメジャー化を狙っていたというまる高さんが、サイト運営の工夫やご自身の考え方、このサイトをとおした充実の日々などを語ってくれました!

ホームページを開設したきっかけを教えてください。

インタ-ネットというプラットフォームができたときに、自分が今まで経験したアウトドアやマラソンなどの情報の発信をしてみようと思ったんです。でも、単なる情報発信だけだと一回見るだけで終わりという人が多い。リピーターを育てるためには、頻繁に情報を新しくしなくてはなりません。とてもじゃないけど、一人の力ではできそうもない。そこで、ソフトウェアの力を借りれば、もっと楽にいろんな人や情報を集められる仕掛けを作れるんじゃないかな、というのがあって。

それと、マラソンは日々のトレーニングなんかがどうしても孤独です。だからそれをインターネット上でやったら面白いことができるのではないかと。それで他のホームページに同じような仕掛けがないか、ぜーんぶ調べました。そしたら、ないみたいなんで「こりゃ、いけるな」と思って(笑)。

 

 

パソコン歴、インターネット歴は?

ネットワーク管理システムの仕事を20年前からやってました。インターネットは96年、ネット普及の走りの頃です。それから97年にニフティサーブに加入し「まるごと高木さんち産地直送便」を開設しました。その一部のコーナーが「まる高マラソン大会」だけど、だんだんそのサブコーナーがメインになってきて、タイトルがあわなくなってきちゃいました(笑)。

 

 

サイト作りで心がけていることを教えてください。

- デザイン面で

ブロードバンドで騒がれてる時代だけど、まだ大多数はナローバンド(いわゆるメタル回線、電話回線)ですよね。だからあまり大きな画像は使わない、テキストベースで見栄えがするデザインというのを常に心がけています。

- ナビゲーション面で

インターネットをやっている人は見るだけの人が多いんですよ。参加して書かれる方はほんの一部。本当は参加したいけれどもナビゲーションの使い方がよくがわからなくて、もじもじされている方もいると思うんですよ。だからその辺のナビゲーションに本腰入れないと、自分のホームページの死活問題だと思ったんだよね。

メニューが増えてくると、画面を縦に割ったりしてフレームを使いますよね。でもそれだと、右側の表示エリアが少なくなるんで、ページの上にメニューバーをつけて、ランキングだのコミュニケーションだのの大きなグルーピングをさせて、どのページにいても目的のページにジャンプできるようにしました。

- エンターテイメント面で

一番大きいのは、私の代わりにレスポンスを書きこんでくれる常連さんがいること。長く続けているからそういう常連さんができて、マラソン大会でお会いしたりレースが終わったあとはついつい飲んだり……、そのくりかえしでツーカーの仲になれる。おかげで下品なおじさん仲間がたくさん集まりましたよ(笑)。そういった常連さんたちがうまくナビゲートしてくれたり、励ましてくれるのが、一番大きいですね。

あとは、あまり自分が表にでないようにしてます。裏方に徹して、1ランナーの「まる高」として走って「早く家に帰ってビール飲みたい」なんて一行書き込こんで、自分も楽しむようにしている。運用者だから、ああしちゃだめ、こうしちゃだめ、なんて表に出るようなことはなるべくしないようにしている。そうすることで常連さんに共有意識、仲間意識が芽生えてきているんじゃないかなあ。

 

ホームページを作成する時間は?

夜11時頃からほぼ1時間ぐらいです。でも、プログラムっていうものはバグがつきものですよね。「これバグじゃないの?」なんて知らせがくるわけですよ。そうすると「こりゃあ、寝るわけにはいかん!これを解決しないと寝るわけにはいかないぞ!」とプログラマー魂が湧きあがって、それで夜更けになったり(笑)。

更新頻度はどれくらいですか?

毎週日曜には必ず。実際はフライングして金曜日や土曜日にアップして1、2日でバグ出しをしています。

- 密度の濃いサイトなので管理が大変では?

掲示板などで何時何分に書きこみがあったかわかる「速報」という機能があって、そこを夜に必ずチェックします。iモードでも見れるようになっているんで、出張先でも「誰かまたバカなこと書きこんでねえかなあ」ってチェックできちゃう(笑)。ごく一部の更新だけは手作業でやってるんですけど、ほとんどいま9割ぐらいは自動更新になってます。月ごとの更新・大会も自動的にやってるし、年度変わりもずっとやってるし。だから究極的には、私が死んでもずっと動き続けるっていう形にしたいですね。

 

ホームページをやっていて一番嬉しかったことは?

やっぱりネットで知り合った方々と、リアルの世界で会えたことですね。あと参加者の中で、大学を出て二十数年ぶりに私のサイト上で出会った人達がいたんですよ。掲示板で話しているうちに「お前か!」って。で、去年その人達がリアルの世界で、私の目の前で再会して抱き合ったんですよ!自分がネット上で人と出会った以上に嬉しかったですね。劇的な出会い。ほんと「ホームページやっててよかった~!」って。ホームページでメジャーになるぞ、とかいうイヤラシイ気持ちが純粋な気持ちになりましたよ。

 

逆に、苦労したこと/困ったことは?

立ち上げ時期は家族とのコミュニケーションが極端に減りましたね。その当時はデスクトップを使ってたから、自分は部屋にいてプログラミングにこもる、っていう生活がかなり続きました。で、2~3年前からノートパソコンも追加しました。それだと居間に持っていって、みんないるところでできるから。あとは、いたずらのデータをいれる人がいること。でもウソをいれても分かるので、すぐに削除しちゃいますけど。

 

ページビューを増やす工夫は、何かしていますか?

毎日走っている人は、たいがい手帳とかに「何月何日に何km走った」とか記録するんですよ。でも紙に書いていくのはめんどくさいし、書いちゃうと再利用しないんですよ。(手帳を)びしっと閉じたら本棚かどっかに立てておいて、しばらくたってから見るとかでしょ。そこで出てくるのがソフトウェア魂(笑)。

私はホームページを開設する以前に、毎日走った距離をランキングで出すプログラムを自分で作っていたので、インターネットでやったら同じようなの欲しいランナーがいるんじゃない?って思いました。記録が電子化されると、表示の仕方で色々と再利用、二次加工できまるし。あと、コメントを入れるようになっているんですが、マラソンの42.195kmにちなんで42文字までしか入れられない。この字数に収めるのが、俳句と同じで結構難しいんだよね。みなさんに聞いてみると、実はコメントを走りながら考えてるみたいです。いいコメントができれば、名(迷)言集に載るんです。それも励みに、常連さんがせっせと書きこんで、アクセスしてくれますね。

まるごと高木さんち産地直送便」の方には、1日何回アクセスしたかを調べられる仕掛けがあって、平均してアクセス数が1日1回もないやつは全部コーナー切ってる。今の倍ぐらいコーナーがあったんですけど、アクセス数を削っていって、残っているのが今の姿です。

 

これからHPを作る人へのアドバイスをお願いします。

世の中にないオリジナルなホームページの方が長く続くと思います。あとは、コミュニティの仕掛けを作ると長続きするのではないでしょうか。インターネットを通した他の人の力を借りる。文字どおりネットワークを使いこなすことです!また「これはスゴイ、こうなりたい」と思えるホームページをライバルと見立てることです。決してコピーはいけませんが、ライバルのいいところ、とくにタイトルやキャッチコピーを含めたレイアウト、トータルデザインを参考にして、あなたのオリジナル・カラー(色はもちろんテーマ、雰囲気)を盛り込みます。この繰り返しとこまめな情報発信で、やがては本当のオリジナルなホームページに育っていくと思いますよ。

私の場合は、ただやみくもに作ったわけではなくて、最初っからある程度「メジャーになるぞ!」という気持ちで入っていきました。自分で言うのもなんだけど、プロバイダーが提供する環境の中で個人ができる、いちばんマキシマムなたぐいのことをやっているという思いはあります。

 

FOLLOW UP QUESTION

現在、ランナーは何人いるのですか?

常時参加してくれるのは100名ぐらいです。最初1ヵ月ぐらいは10名ぐらいでした。1年たって、50名ぐらいにあがってきて。参加者が増えたきっかけは、サイトのリニューアルや口コミかな。でもYahoo!のサングラスマークがついたのが一番大きいでしょうか。

- ネット上でランナーが一緒に走るという試みは見事に成功していますね?

匿名の無責任な世界と違って、マラソンというリアルな世界を持っているんで、ウソを書いても実際走れば分かるんですよ。マラソンというのは、走った距離に比例する。例えば会社なんかでは、いくら頑張っても上司に評価されなければ、昇給しないし昇格もままならない。腐っちゃいますよね。でもマラソンっていうのは、一番走って練習した人が、一番いい記録をだして、一番偉い!一番わかりやすい!だからウソが書けない。そういうリアルとバーチャルがうまくかみあっていると思います。その証拠に、常連さんはずっと住みついちゃってますから。

- これだけ参加者が定着するのは、まる高さんの人柄によるところも大きいと思いますが、いかがでしょう?

いや、集まってくる人達が個性が強くって、磁石みたいに引きつけあっているんじゃないでしょうかね。みんなけっこう負けず嫌いでしょ、品がないでしょ、おやじでしょ、飲んべえ、(笑)。まともな人も、染まっちゃうみたいです。この人こんなに変わっちゃっていいのかな、って(笑)。マラソンの方も、例えば1週間に20kmしか走っていなかった人が月200km300kmと走るようになって、ウルトラマラソンにも出場したり。ネット上で知り合った人に一緒に走って教えてもらって、そういったステップアップする姿を見てると、こっちが「この人どこまで壊れていくんだろう……」って思うよね(笑)。

 

仲間意識は、はじめから高かったのですか?

高いですよー。この前の勝田マラソンでも、走り終わったら「うわー!バンザーイ!」なんて盛り上がって(笑)。10人しかいない時から結束は強かったです。みんな意志が強くて、数回エントリーしたあと二度と来ない人っていない。すごくみんな考え方がポジティブなんだよね、マラソンをする人って。「この指とまれ」みたいな感じで「この足とまれ」っていうのがあって、これやりたいぞーって言うと、私も参加していい?って参加してきますよ。

 

 

初めてまる高ランナーの方々と会ったときのことを教えてください。

サイトを立ち上げてから1年ぐらいして、つくばマラソンで会いました。文通仲間と初対面する時のような、あるいは初めてのデートのようなわくわくした感じでした。でも、お互いハンドルネームしか知らなくて、本名も、どこそこの会社の部長さんとかいうことも全然知らない。それでも、前から知ってるような感じでしたよ。

一番インパクトがあったのが、隠居じさまという、非常にいい味を出しているおやじがいるんですが、「チームまる高」ののぼり旗を作ってきてくれたんですよ。そのおやじが「ドーン」と旗を立てた時、そこに15、6名が「ドーン」と集まってきて。一同、感動ですよ。1年間のネット上でたまりにたまってきた人達がその瞬間初めて出会って、まるでドラマでしたよ。そんで走り終わったら、近くの酒屋さんでビールとかお酒とか買ってきて飲んで。会場が筑波大学の構内です、そこで最後のランナーが戻ってくるまで飲んで。これじゃ名残惜しいから、次行くか!と。健康ランド行ってお風呂入って、またさらに飲んで。それからは、ずっといろんな大会にでるたびに集まっては、走って、飲んで、だね(笑)。

 

 

ランキングが励みになっているランナーも多そうですね?

毎日の記録を入れて競うと、走るためのモチベーションになるんですよ。やっていくうちに自分の目標タイムができてきて、その周辺を見ているとライバルがでてくるんです。身近な人達、インターネットが身近かどうかは別にして、知ってる人達が頑張っている姿をみてると「ああ、仕事落ち着いたらまた走るぞ!」ってなるし。

今は100人ぐらい出ているんで、ランキングページが5枚ぐらい出てくるんだけど、1ページ目に載るのがひとつのステータスになってきてて。1位2位になっている人は異常ですよ。月1000km走る。月1000km走るってことは、一日30kmですよ!レースは別にして、ジョギングベースだったら大体1日4、5時間走ってるってことです。仕事してないんじゃないのって思うよね(笑)。

 

 

ホームページグランプリに応募したきっかけは?

実は、茨城県でのコンテストでも優秀賞をもらったことがあるんですよ。今度はそろそろ全国制覇したい!という気持ちがあって、始めから狙って応募しました。もう3年か4年、まる高マラソンというのやってきたんで、もう自分でもこれ以上、仕掛け的にはやり残したことがなくなってきてるし、コンテンツも人間も含めて熟成してきたから、いいとこいくんじゃないかなあ~と、始めから自信を持って応募しました。これでもし何も賞がとれなかったら、もうこれは自分のレベルがここまでなんだなと納得できるはずだと。

- グランプリの知らせがきたときは、どう思いましたか?

(その時の様子を)再現しますとね(笑)、いつも晩酌するわけ。いつも帰ってきてからビールのむわけ。あ、メールチェックしようかな、って。「ん?……100万円さしあげます」 えっ!?ってもう一回(モニターを)見て、もう、これ。(立ち上がってガッツポーズ!)これもん!このポーズッ!!力入りましたよ~(笑)。やっぱりね、金メダルと銀メダルは違う、全然違う。自分でとってみてわかったけど、田村亮子の言葉に納得した。やっぱり、上じゃないと味わえないね。プロの編集長の方々に自分の思っていたところを見ていただけたので、非常に納得した受賞でしたし、やっぱ嬉しいですね。

 

 

賞金で記念グッズを作ろうと思ったのはなぜですか?

まず、まる高マラソン大会に来ているメンバーになんか還元しようと思ったの。やっぱりコンテンツは人なんで、感謝の気持ちを伝えたくて。最初、Tシャツのデザインを自分で考えたんだけど、実は1999年に隠居じさまが作ったのぼり旗が、あちこち使っているうちにだんだんくたびれてきちゃって「あれを新調しよう」「ああそれはもっともだよね」って。ああいったものは費用かかるし、なおかつ全国に散らばっているネット仲間でお金を出すっていうのはなかなかできないですよね。たまたまグランプリでまとまったお金ができたから、これは使い道としてやっぱりいいね、って。4月の霞ヶ浦マラソン大会で、新しいのぼり旗をデビューさせたいです。来年のグランプリ会場に呼ばれたら持っていきます。「賞金でこれを作りました」って(笑)。

 

 

グランプリ受賞前後で変わったことはありますか?

家族の見る目。今まで部屋で何やってるの、と思っていた娘が「おやじ、やるじゃん!」って(笑)。
あと、隠居じさまの目。狙ってるな、あの人(笑)。

ホームページの運営方針は変えてないです。一時は、ちょっと責任持って模範にならないといけないのかなって思いました。思いましたけど、地で持っている下品なものっていうのは、なかなか薄くすることはできません(笑)。だから今までどおりに。

 

 

「まる高マラソン大会」で、今後どんなことをしていきたいですか?

100という数字(常時参加数)は管理するのに非常にやりやすい数値なんで、100から200の参加者数で運営できたらいいなと思ってますね。1000人とかなったら管理しきれなくなると思うので。ある程度やれることはやったし、できたんで、今度はコミュニケーションの部分、リアルな世界をちゃんとしていこうかと。それから、マンネリ化を避けるために、企画ものや討論会を適宜開催しようと思っています。また、蓄積してきたランナーの走行記録や貴重な意見・情報を二次加工もしくは再利用できるような検索システムを計画しています。

 

PROFILE

走っているとき、何を考えていますか?

いろんなこと考えてますよ。なにか嫌なことがあっても、走っているといろんな考えが及ぶんですよ。走って脂肪が燃えていくうちに、だんだん「そんなくだらないことなんかやめちまえ」みたいな、そういう気持ちになってきて。走っていると気持ちいい。頭も活性化してくるみたいです。

けっこうプログラム考えてる時もあるよ。あとはね、今までにない機能とかサービスはどんなのがあったらいいかなとか、改造したいところとか。それから、(ホームページに書きこむ)一言コメント。キレ味のいい、あまり下品になりすぎないコメント(笑)。

 

記憶に残るレースを教えてください。

なんでこんな馬鹿なことしたのかな~っていうのは、いっぱいありますよ(笑)。例えば、静岡の掛川マラソンに出るため茨城から車で一般道路を通って12時間かけて真夜中に到着して、翌日フルマラソンに出場し、また一晩中運転して、車の中で寝て、朝5時に帰ってきて会社にいったこともあるし。あとは、なんだか喉が痛いなーと思いながら出場したら、実は咽頭炎に罹っていて熱が40度もあって、でもせっかく来たからと完走賞のTシャツ欲しさに吐きながら完走したり(笑)。

 

 

ずばり、まる高さんにとってマラソンとは何ですか?

うーん。究極の美味しいビールを飲むための肉体作りです。フルマラソン、42.195kmを走り終えた後の、脂肪が燃えつき縮んだ胃袋に流れ込むビールのホップの旨さは、最高です。決してマゾではありませんよ。

 

MESSAGE FROM INTERVIEWER

 
孤独なランナーたちがその孤独さにとどまらず、競いあい励ましあい、成長していく「まる高マラソン大会」。このサイトは、まる高さんの「何事にもポジティブに向き合う姿勢」と「プログラマ魂」と「笑い」あってこその賜物ではないか……そう感じさせるすてきなインタビューでした。
これからもグランプリ受賞サイトの運営者として、チームまる高の1ランナーとして走りつづけてください。
まる高さん、どうもありがとうございました!

人気ホームページになるために……まとめ

 リピーターを育てるための仕掛けを工夫しよう!こまめな情報更新も大切。
 ネットをとおした人間関係、「ネットワーク」を使いこなそう。
 スゴイ!と思うサイトのタイトルやキャッチコピーを含めたトータルデザインを参考に。
 運用者といえど表に出すぎず、常連同士の仲間意識を育てよう。
 記録を電子化して、表示の仕方で再利用や二次加工してみよう。

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